三つの名を持つ犬三つの名を持つ犬
(2011/05/17)
近藤史恵

商品詳細を見る


評価 4.1

途中までは、巻き込まれ型のミステリ小説としてとても面白く読んでいたのに、後半に向かって失速する、というところがとても惜しい。
最初の方で、なぜホームレスの犬を盗むまでになった売れない女性モデルがいたか、というところは痛いほど分かる。
そしてその自分の死んだ犬エルと偽った犬に新しいササミという名前をつける。
ここまでは面白いながら普通の小説なのだが、ここから、巻き込まれ始める。
犬嫌いの恋人(妻子持ち)、そしてその妻が登場するにあたって、こういうことになっていくのか、と、わくわくするほど面白い。
犬が重要な部分を占めているだけに、そこもいかんとも動かしがたいところがあって(人間ではないので思うように動いてくれない)もどかしくて、ぐいぐい読ませる。

そして次に、詐欺集団の男が出てくる。
このあたりから失速気味・・・
なぜならこの男の詐欺の話と、女性モデルの足掻きの話、というのが噛み合ってないのだ。
運から見放された気弱な詐欺男が詐欺をしないという方向に躊躇う、でもさせられる、とこのあたりもなんとも歯がゆい。
詐欺集団の親玉みたいな人間達も出てくるが、話全体ではちょっと浮いている。
何よりあまりに最後の方であっさりと女性モデルが諦めるのもよくわからない。

あともう一歩後半が良かったら、私はこの小説、とても好きになったタイプの小説だと思った。