アリアドネの弾丸アリアドネの弾丸
(2010/09/10)
海堂 尊

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評価 4.5

このシリーズのメインキャラが出てくるので、そこは安心して読める。
おなじみのメンバーでおなじみの行動というのが読んでいる側にすればそれはそれは楽ちんだ。

今回また元に戻ったスピード感のある話、プラス、謎解きの面白さというのが加わった気がした。
最初のところで、死体が出てきて(友野)、クラシック音楽の話が出てくる。
音楽は単なる愛嬌と思っていたら、最後になってとても重要な位置を占めるようになった。
またエーアイ設置(死語画像診断)までたどり着いた病院の姿もまたここまで読んできて、一抹の思いがある。

だが・・・・
映像化されているということは、映像が頭の中でちらついてしまう、ということでもある。
映像を見てしまっているので、初期の頃のように白鳥を見ることが出来ない。
田口先生を見ることが出来ない。
また、最後の解決の場面は鮮やかといえばそうなのだが、白鳥の口調が私にはどうにもこうにも癇に障ってならなかった。こんな話し方だったのか。こんな人をコバカにしたような話し方だったのか。こんな友達口調だったか。面白い謎解きなのに、白鳥の口調にいらっとしていたので、我ながら惜しかった。
トリックそのものは、私は面白いと思う、実に特殊な条件下でのトリックだから。そして最後にわかるまでに読者にきちんとその全てを提示してくれているからフェアーと言えると思う。

途中で普通の読者なら何となく犯人は想像できる。
だが方法がわからない。
つまりは「被害者の目に4mの距離から弾丸を撃ち込む」という技、と、機械の4m半径内に銃をどうやって持ちこむ」かという二つが謎解きを聞いて納得したのだった。
機械の特殊性が諸刃の剣になっている。

以下ネタバレ
・第二の殺人は、銃ではなくパチンコ玉を管を通して磁場の力で凶器にするという方法。
機械の磁場を利用している(これが大変面白い)
但し、死んだ北山は肺がん末期であったので、これは自殺幇助。

・銃声は録音テープにかぶせた音。
しかしその録音テープの音が、クラシックと言うことでひとくくりにされ、事件時に流れていた音楽が(銃声をかぶせた音)友野(殺された人間)の好きなショスタコーヴィッチではなくモーツァルトになっていたと言うところがミソ。

・更に友野がMRIをシステムハングさせた。
彼は死ぬ直前に身の危険を感じたけれど背後監視でメモが残せないので、MRIを調べる振りをしてここにボイスメモ(MRIについてきく真犯人宇佐美警視とのやり取り)を残しシステムの中に隠した(ここは大変面白い。ダイイングメッセージのようで)

・友野は、ヘリウムを肺に入れられた。
それが死後画像診断でわかった。
このヘリウムが減ったと言うのも、友野の業務日誌でわかる。
更に、宇佐美が絞め落として気絶させ、透明な棺にいれて窒息させる。そこにヘリウムを入れてひっくり返した。