2011.07.07 下流の宴
下流の宴下流の宴
(2010/03/25)
林 真理子

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評価 4.2

この小説が文学としてどうなの、という問いには答えられない。
でも、日本のある一つの面を、どれほど不快であろうと、どれほど見にくいことであろうと抉り出している本ではあると思う。
お酒の席でこういう話があるのよーという友達同士の話の延長、という気もしないではないが(だから文学としてはどうなの、と思うが)
一時期はやった勝ち組、負け組の話ときわめて似ている。

話は、専業主婦で自分の家は他人より上(夫は名の知れた企業に勤めていて、妻は専業主婦、子供は男女二人)と思っている女性に降りかかった、息子の反乱から始まる。
なんせこの息子がやる気がない、植物系とかいうのを既に超越していて、全てに覇気がない。
だから母親が必死に、なんとか普通のルートというのに乗せたくても、本人がやる気がないので乗せることすら出来ない。更に、高校すら中退する有様だ。
こんな息子に沖縄出身の彼女が出来て、あろうことか結婚したいと言い始める・・・
娘は打って変わって、自分をいかに高く世に売り出すか、いい男を捕まえるかというのに粉骨砕身している。
きれいなので、それはそれは自分の思い通りの人生が待っているように思えるのだが・・・

小説なので戯画化されているけれど、こういう家庭は現実にいくらでもあると思う。
この主婦を笑うことは出来ないし(だって誰しも子供には安定路線を行って欲しいと思うだろうから、本音では)、婚活に必死な娘の姿を笑うことも出来ない(これも前面に出しているのは小説だからであって、現実にいくらでもこういうタイプはいるだろう)

面白いのは、後半で、自分の彼の母親の言葉にむっとして医者になろうとする奮起する、彼女、の姿だ。
これで逆転するのだ、彼女とやる気のない息子の立場が。
それでも母親もまた祖母も、まだ自分達がいわゆる「下」になっているのにかなりになるまで気がつかないところだった。