2011.07.16 真夏の方程式
真夏の方程式真夏の方程式
(2011/06/06)
東野 圭吾

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評価 4.9

とても面白く読んだ。
ガリレオ先生と(ここでは博士と呼ばれている)少年恭一との一夏の物語・・・
ところで湯川学って、子供嫌いじゃなかっただろうか。
後半の交流はいい、意味があるのだから。
でも前半から(列車内から話をしている)飛ばすように少年と仲が良いというのが違う湯川を見ていたようだった。
どのあたりから湯川は全てがわかっていたのだろう?
まさか崖から落ちた彼を見た瞬間からわかったのではないだろう。
また、環境保護のことでここに来た湯川、という設定なので、ここに「来た」というところまでは納得できるけれども、「偶然」その途中の電車である「旅館」の親戚の子供の恭一といっしょになり「偶然」そこに泊まるというのが、いくら宿が少ない地域でも・・・とここはちょっと思ったのだった。

過去に戻って犯罪の真相を突き止める、というところが一時期の松本清張のようで、読ませたのだった。
地道な刑事達の捜査が、出所したある殺人事件の犯人仙波と、かつて彼を捕まえた刑事塚原が殺された、と言うことから、始まっていくのだ。

途中、ロケット花火などを使って海を覗く技とか、宿題を見てあげるとか、食事場面とか、湯川と少年の心温まる交流が見える。
少年が湯川に心を開いていくというのが見えるのだが、それがなければ後半の話が成り立たないので、ここはとても大切な場面だろう。

そして過去のある殺人事件が掘り起こされる。


ある殺人事件とは、仙波がホステスの女性を殺したと言う殺人事件だ。
そして罪を刑務所で償い仙波は出所する。
ところがこの犯罪の真相が・・・
という話なのだが、過去の人の動きを刑事達があらゆる方向から汗水たらして探っていくところが読んでいてとても楽しい。
なぜ、この人達はここに逃れてきたか。
なぜ、このような事が行われていたか。
それが開いた時に、あ、と思うのだ。
ただ、前半の謎の開き方は、やや一本調子で単調のような気がした。
それよりも、最後の最後での驚きが大きかったのだ。

以下ネタバレ
・仙波は殺人をしていない。
犯人はこの宿の娘の成実。
なぜなら、この娘こそ、かつて節子という成実の母親と仙波との間に出来た実の娘だったからだ。
これを節子の夫も知っていた、実は。
そして、仙波が思わずこの真相を話してしまった三宅伸子というかつての節子の同僚のホステスが、成実に真相を話して、逆上した成実に殺されてしまう。
この話を聞いた仙波が、実の娘の罪をかぶるのだ。
そして、成美一家は、東京を離れていく・・

・この仙波を捕まえた善意の刑事が殺された塚原。
彼は、真相を突き止め、余命いくばくもない仙波に娘を会わせてあげたいと考える。
そして一酸化中毒で殺され、がけ下に突き落とされる。

「密閉した部屋」を作る手助けをしてしまったのが、
「濡れたダンボールを」その意図を知らないで(花火が入るからという伯父の説明を鵜呑みにする)、煙突にかぶせてしまった子供の恭一だ。
これを指示したのが、伯父の重治。
この部分が、湯川と恭一の卓上コンロ場面(ここでも濡れた紙がふさぐ話が出てくる)に繋がる。

いずれ恭一は真相に気づくだろうが、ここではそのままになっている。