消失グラデーション消失グラデーション
(2011/09/26)
長沢 樹

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評価 4.8

出来たら何も見ないで、読んだほうが楽しめると思う。
文字通り何も見ないで。

表紙がこの女子学生の足を上げている表紙で目を惹く。
最初から、隠微な世界が広がっているある高校の一こまが描かれている。
私立藤野学院のバスケット部と放送部とのあれこれが、青春ミステリとしてとても読ませたのだった。

一人の生徒が校舎の屋上から落ちて、そののちに消える。
それを見ていた椎名康が、生徒を助けようとする。
生徒が消えて・・・
そして生徒の中で、探偵役とその補助役が出てきて・・・・・・

以下ネタバレ

・後半にいたって、
椎名康(こう)が「女性である」というのに驚愕した。
「僕」と名乗るのと、女性をとりこにしているので、しっかり男性だと思っていた。
まさか、女性とは。
そうすると、最初の隠微な女性に対して何かというのも同性に対しての何かということになる。
また伊達先輩との何か、も女性同士の何か、になる。
ここが、
最後の網川が屋上から落ちて、制服を取り替える。というところにつながる。
なぜなら、制服を取り替えるためには、椎名康が女子学生でなくてはならないから。
またバスケ部で、男子の「マネージャー」という役割も大いにわかる、女性だから。

・と思っていたら
網川が妊娠したとかで、産婦人科に行っていたと思ったら
それは違って、彼女は「男性仮性半陰陽」であったと。
外見は女の子で実際は男の子。
機能的な問題でもある。

・と思っていたら
なんと探偵役の張り切っていた放送部の樋口が、男子生徒で
彼は彼で、性同一性障害だったということ。
話し方、椎名とのペア具合(椎名が男だと思っていた前提もあるが)、体の小ささ、まゆというあだ名、などから絶対に女性だと思っていたが・・・

・「性の取り違い」と言うことで面白くは読んだのだが、
一点、この高校にこれだけ特殊な人間が集結する、という不自然さは否めない。
なんでこんな混乱する人間ばかり集まってくる、この高校は。