2011.10.10 鶯を呼ぶ少年
鴬を呼ぶ少年

評価 5

傑作短篇集だと思った。
暗鬱な雰囲気が全体に漂っている。

表題作もさることながら、どの作品をとっても優劣をつけがたいほどよく出来ている。
切れ味の鋭いカッターで、さくっと紙を切ったようなそんな作風だ。
少年少女のミステリが多いのだが、それがまた哀愁を誘う。
中には切っ先の鋭い話もあり、どれもラストまで息をもつかせず読んだ。

表題作はとても話としては哀しいのだが(三浦哲郎の私小説まで思い出した)、それでもラストのほんの少しの言葉で救われる。
そこにわずかに光が見える。
鶯を笛で呼ぶのが上手な少年がいて、それを見込んだ一人の少女が死を間近に控えた盲目のおじいさんの所で吹いてくれる様に頼む。
これが幼少の時の話で、入り組んだ作りで、この少女の後半生に焦点が当てられる。
意外な犯人と物悲しいラストが忘れがたい余韻を残す。

・・・・・・・・・
以下ややネタバレあり

死はゆるやかに(蝸牛がおおきなポイントになっているのと、不気味な少年が怖い)
時には草色の血(最後の最後までなんだかわからなかったが、最後で大変驚いた)
目撃者(皮肉な話。自分の息子のアリバイを証明する人が・・・ちょっとした勘違いから殺人が)
紅皿欠皿(昔話をモチーフとしてインパクトのある仕上がりになっている。一人の少年が母に話す話が、母の忌まわしい過去を引き寄せて行く・・・)
誘拐(連鎖して行く誘拐・・・)
波がうたった死の詩