人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)
(2011/10/28)
美達 大和

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評価 3.9

とても複雑な気持ちになった。
これを書いたのが、長期の刑務所に入っている殺人犯ということだから。
そして同房の人への聞き書きも、この人がしているから。

一体この人は何なんだろう?
こういうことに生き甲斐を感じてるのだろうか?
折々に自分をさておいて、というような悔恨の情は見られるし、ここから(刑務所から)出る気はないとも言っているのだが、それで読者側の感情が和らぐものでもない。
貴重な証言といえば貴重なのだが・・・なんだかかんだか割り切れない気持ちでいっぱいになる。
それが狙いならたいしたものだと思うけれども。

また全体にうっすらとこの作者が「上の立場」というのが透けて見えるのだ。
これをずうっと刑務所で書き続けるというその背の丸め具合に、鬼気迫るものを見てしまうのは私だけだろうか。
カミュの異邦人、シェイクスピア作品を語るどころではないと思うのに・・・

ただ、放火犯と強姦犯人について同じ色がする話とか、犯罪者が人の感情に同化できない話とか、そこに人がいたからやってしまったんだ、だからいた人が悪いんだという理屈の話とか(多くの犯罪者が語っている)あたりは大変読ませたのだった。
また背景ということを考えると、虐待という言葉も浮かび上がってくる。
家庭内の虐待、というのは、肉体的なものだけではなく無視ということも含まれているが・・・・