2011.11.11 塔の中の女
塔の中の女塔の中の女
(2011/09/21)
間宮 緑

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評価 4

非常に評価が付けにくい作品だった。
読解力不足なのかもしれないが・・・・
奇怪な夢の世界をきわめて克明に描写したらこんな風になるだろうなあと思った。
塔とこの内容から、カフカ的世界もチラッと思ったのだった。

まず主人公はオレステスで、姉のエレクトラが出てくるので、ギリシア神話をモチーフにしているのは一目瞭然だ。
そして舞台は、いつの時代か何処の場所か判然としていなくて、ともかくも「塔」があってそこに「ばらばらになる機械で出来ている」大食らいのガラクタで出来た「公爵」がいる。
なぜか領民におそれられている。
その公爵は、体をばらばらにして組み立てなおす場があり、そこには婆さん達が働いている(この働き振りがとても印象的)。

これとは別に、文字を食らう奇怪な動物の紙魚(と言っても大きな生物になっている)がいて
図書館が出てきて文字が出てきて、本と文字を巡って不思議な現象があったり
オレステスが物語の最後の1ページを探しに塔に行ったり
塔の内部では、偽詩人としてオレステスが扱われたり
塔男の存在、公爵にそっくりな侍従長、ピュラディスの存在、
塔の中の昇降機で上に上にと上がっていくと、また別の場所が現れて、そこに「塔の中の女性」が現れたり・・・

イメージのあれこれが鮮烈にこちらに刻み込まれる。
場面場面が次々にやってくるのでこちらもそれを受け止めきれない部分もある。
これは一体どうしたのか?とかここはどうなったのか?と思うまもなく次の話がやってくるのだ。
限りなくこれを面白い、と思う人と、受け止めきれずに茫然とする人とに分かれる小説のように思えた。