2011.11.11 木星の骨
木星の骨 上 (創元推理文庫)木星の骨 上 (創元推理文庫)
(2011/09/21)
フェイ・ケラーマン

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木星の骨 下 (創元推理文庫)木星の骨 下 (創元推理文庫)
(2011/09/21)
フェイ・ケラーマン

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評価 4.7

カルト宗教の話、と思っていたら、静かな前半に比べて後半大変動きがある小説だった。
この話の中で、デッカーの佇まいが非常に好感が持てる。
家庭の中でも思春期のしかも義理の息子達の扱いにてんやわんやしているデッカーの戸惑いも何だか可愛らしい。
また現場では、陣頭指揮を取っているのだが、ここでもただただ捜査を進めるのではなく、奪回した女の子との会話も非常に読ませるし、部下のマージへの気遣いとかける言葉にもデッカーの人間性が溢れ出ている。
つまりは、ミステリ部分だけではなく、他の部分も本筋に絡み合って、そこもまた楽しめる作品なのだ。

話はジュピターと呼ばれる元天体物理学者が死んでいてこれが他殺か自殺かと言うところから始まる。
ジュピターの失われた10年間は何処にいたのか。
これが最後の最後で分かるのだが、ここもまたとてもよく練られたプロットだと思う、冒頭を読み合わせてみると更に。
生死を賭けた奪回劇の結末で、ある苦い部分も残るものの、それでも一筋の光に向かって歩みだそうとしている人達の姿もまた読ませる。
デッカーの義理の息子達の思わぬ過去が出てきてここの会話も泣けるのだ。