ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
(2011/09/09)
トム フランクリン、Tom Franklin 他

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評価 4

この物語は、二人の少年の友情という過去の部分と、
25年後の今現在、自動車整備士の男ラリーと治安官になったサイラスの二人を軸にしたミステリだ。
冒頭の部分でラリーが銃で撃たれる衝撃的な場面から始まる。
仮面をつけて撃ったのは誰か。
ラリーは仮面の「目」からそれが誰かわかっていたのだろうか。
二つの少女失踪事件が時を隔てて結びついているのだろうか。
そもそも最初の少女失踪は、ラリーに関係しているのだろうか。

ラリーとサイラスの少年時代の描写が胸に突き刺さる。
・内気でホラー小説が大好きなラリーと言う孤独な少年。
彼を愛してくれていて、いつか喘息が治りますように、いつか本当の友達が出来ますようにと神に祈り続けるラリーの母。
横暴で息子をでくの棒と思っていて、息子と妻に絶対服従を求める父。
彼らは白人に属している。
・サイラスは貧しいしかし美人の母と二人で父親が誰かわからず、別の場所からミシシッピに移り住んでくる。
ここで野球少年の本領を発揮し、クラスにも友人が多くいる。
彼は黒人に属している。

この話、少年の友情の話でもあるが、人種差別まだ色濃い時代のアメリカの世相を背景にした物語でもあるのだ。
随所に黒人白人の問題が浮き彫りになっている。

ラリーの父とラリーが車で学校に行く途中でサイラス親子を途中で秘密で拾って送る、という場面がある。
これが非常に印象的な場面で、あとでこれは廃止されてしまうのだが(ラリーが無防備にこの話を母に言って、母が古いコートをサイラス親子に車から投げつけるこれまた印象的な場面で終了する)あとの色々なことと繋がってくる。

ラリーがドジであり、クラスで黒人の少女に暴言を吐いたので(それも自分の白人仲間に受け入れられようとして)それで苛められる場面も心に残る。
なんとか皆に溶け込もうとしているラリー。
そんなラリーが唯一声をかけられ女の子とのデートに誘われ車で連れて行ったのに、そこでも違う仕打ちが待っていたのだった・・・
更に友人が初めて出来た、と思っていたのに、これをラリーの強硬な父親にぶち壊される(喧嘩をあえてさせられる)

ラリーがひたすら哀れであり、嫌疑をかけられているだけで、自動車整備にも誰もやってこないというのも寒風がたつような気持ちになる。
更に、元気だった母もホームでアルツハイマーになっている。
またしてもラリーは一人になる。
しかしここに一人の人間が・・・

一方でサイラスは恋人もいて、新聞にも英雄扱いされている。
職場でも自分の本領を遺憾なく発揮している一方で、かつての友人ラリーからの電話を無視もしている。

過去から目をそむけている二人。
しかし過去に向き合うということで、二人の新たな一歩が踏み出せるのであった・・・

以下ネタバレ
・正直なところ
早く言って欲しかったよサイラス・・・と思った。
ラリーは全てを失ったわけだから。
人生を棒に振ったわけだから。

・最初の殺人は殺された女子の義父の殺人。
義父が死んでいるのでなんだか、ここがすっきりしないけれども。
サイラスを途中で振って最初の女子が走っていったところは、サイラス。
サイラスと彼女は深い仲だった。
これをサイラスは長い間伏せていた。
子供ができていなかったというのは本当なんだろうか(ここもすっきりしていない)

・ラリーとサイラスは実は兄弟であった。
サイラスの母に手をつけていたラリーの父親・・
(ここもまたどうしようもない男と思った・・・)

・次の殺人は別の人間で、ラリーが殺人を犯したと思って
ラリー崇拝した、ラリーに近づいた男の犯行。
だから、そもそもサイラスが最初のときに本当のことを話していれば、
この殺人は起こらなかった。

・139ページ上の5行目はラリーじゃなくて、サイラスではないか?