2011.12.28 人間動物園
人間動物園 (双葉文庫)人間動物園 (双葉文庫)
(2005/11)
連城 三紀彦

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評価 5

なんて巧緻で策略に満ちた作品なんだろう。
非常に書き込みが深く、一種の文芸作品を読んでいる醍醐味がある上に、驚愕の展開に満ち満ちている。
単純な誘拐物と思っていたらとんでもない。
タイトルどおり動物の一種、と人間を見ているのは勿論、動物の例えも各所にあってそれもまた楽しませてくれる。
こうもりとは?
誘拐の真相とは?

練りこんであるので、ぱっと通読すると読み落とすところがたくさんある作品なのだと思う。
ある示唆からすぐにある結論を導き出すと言う類の話ではないから。
最初にも書いたように、文芸作品を読むという労力を払う覚悟がいる作品だ。
そしてその労力に見合った作品だとも。

最初の方は、動物に名前をつけていたおばさんがそれを警察に届け、警察がすわ人間の誘拐?というお間抜けな話から始まる。
ところがこのおばさんの隣の家で、本当の誘拐事件が起こったという。
それは汚職疑惑の渦中にある大物政治家の孫娘なのだ。
被害社宅に仕掛けられた盗聴器があり、下手に警察と連絡すら出来ない。
一箇所だけ開いているお風呂場から何とか隣家に詰めた警察官と被害社宅の母親と連絡を取るのだ・・・


関東地方なのに最初から降り続いている記録的な雪。
絶え間なくくしゃみと咳をする風邪を引いた警察官。
誘拐された家の隣の家の「おばさん」の描写。
間に入り込んだ、あるスクープを狙おうとする男。
なぜか警察官達の親族に誘拐事件が起こったと知らせる連絡。
見せ金として警察官から集めた1万円の14枚がすり替わっていた謎。
殺された動物達・・・
これらが融合し、実に見事にブレンドされて一つの作品になっている、というところが読ませたのだった。

盗聴器のあることが後半でわかるのだが、その盗聴器の使い方を皆があれこれ考えあう場面もまた読ませる。
そしてラストの一転で驚き、最後の二転でまたしても驚き・・・

以下ネタバレ
・話が進むにつれ、
この誘拐自体が狂言なのか?というのは読者も考えるし、また中の警察官も言っている。
そしてその側面は確かにあり、本当に閉じ込められたという意味で誘拐されていたのは、子供のユキの母親であった。
これが第一のどんでん返し。
ユキもこれは認識していて、母親では祖父がお金を出さないのでユキ誘拐ということにしたのだった。

・上の第一段階が終わって、次にわかるのが、
警察官達が実は誘拐されていた(監禁されたという意味で)
14万円は警察官の身代金という意味があった。

・ユキの母親は、これが狂言誘拐というのはわかっていた。
しかし自分を誘拐した男が自分の元夫の家野輝一郎というのは知らなかった。
また自分の誘拐が真の被害者の隠れ蓑というのも知らない。

・家野輝一郎という男がこうもり(政治家の妾の子供)