2011.12.28 頼子のために
頼子のために (講談社文庫)頼子のために (講談社文庫)
(1993/05/06)
法月 綸太郎

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評価 4.9

冒頭の手記で、切々と殺された娘頼子に対する父の思いがこちらに伝わってくる。
しかも妻は何年か前の自動車事故で不具の体になりおなかにいた長男も亡くしているのが手記から分かる。
この絶望の淵から立ち直った三人家族なのにあまりに運命は悲しい。
一人娘となった頼子を殺された。
しかも頼子は妊娠していた。
父は犯人は妊娠させた奴だ、と推理を進めていく。
なぜか警察は通り魔事件で片付けようとしていて機能していないのだ・・・

最後まで読むと、ロスマクをとても思い出す。
作者がロスマクファンだというのが書いてあったがそれもとてもよくわかる。
最初の手記、そしてタイトルを改めて見るとなるほど・・と別の感慨にふけるのだった。

やや、時代が古いので、ワープロとか中森明菜とかが古びているなあ・・と思う。
けれどそれを補ってあまりある驚愕の展開があったのだ。
真相がとても辛いのだが、それでも最初からの一本の線がきちんと繋がっているところが見事だと思う。

以下ネタバレ
・学校の先生と生徒という関係で、娘が妊娠していたと言うのを突きとめその先生を殺した、と父は手記で書いている。
ところが、妊娠させていたのは当の父(と父は思っている)であった。
なぜなら、娘が成長するにつれ、父の愛を求めて体の不自由な母の代わりにそっくりになろうとしていたのだ。
でも性行為が成功したとはいいがたく、娘は本当に先生と関係を持ち、父の子供が出来たと満足した。

・娘を殺したのは父親。

・そもそも最初の交通事故は、娘を庇った母が身を投げ出して自分が不具になる。
娘はなぜそこに飛び出したかというと、反対側の車線に父の車を見たからだった(これは父は気づいていなかった)

・そして全てを知っていたのは体の動かない母親。