ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)ブエノスアイレス食堂 (エクス・リブリス)
(2011/10/08)
カルロス バルマセーダ

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評価 5

自分が思った小説と途中で色が変わったのだが、それでも十分に面白かった。

最初におぞましいネズミ死体場面がある。
そこで、おえっと思いつつ、一旦話はそこを外れる。
外れたところが、ブエノスアイレス食堂なるレストランで、いかに色々な人が関わってそこから美味しい料理を生み出していったかという歴史が語られていく、アルゼンチンの歴史と共に。
移民がオーナーになった時もあるし
親戚が呼び寄せられてなったこともあるし
ともかくも、ブエノスアイレス食堂は美味しい美味しいレストランで評判になっていく。
ここが大変読ませるのだ。
誰も彼も美味しい食事を出そうと努力していく姿が好ましい。

この元になった、双子の書いたレシピ本が奇妙な方法で受け継がれていく。
ある時には手渡しである時には机の中の引き出しに入っている。
そしてアルゼンチンの独裁政権やその崩壊やそれらとここに働く人がリンクして、殺されたり処刑されたり誤解されたりそれはそれは激動の食堂となっていく。

ここまで読んで、(これはアルゼンチンの歴史と絡めたブエノスアイレス食堂の人の歴史という話なのだろうなあ・・・)と想像していた。

ところが!
途中から(かなり後半になってから)真打ちというべき人が現れる。
これがどこからきているのか、というのを思い返すと、「ある予感」が走る。
そしてその予感のとおり、話は進んでいく・・・限りない美食と限りないタブーの世界へ・・・・
こういう話だったんだ、と最後茫然とした。
色々な小説を思い出すけれど(後書きにもある)、予備知識ゼロの状態でこれを読めたことがとても嬉しい。

淡々とした文章でおおげさでもなんでもない。
それでも、いやそれだからこそ、美味しさが伝わってくるし、このとんでもない状況もこちらに伝わってくる。

以下ネタバレ
・人食いの話、であった。
最初のネズミ場面では子供が自分の母親を食いちぎっていた。
この子供が成長してブエノスアイレス食堂にやって来る。
(これを最初の場面で見た刑事が思い出す)
ここで料理長をまず殺して料理して食べさせる。
これがおぞましいのだがおいしそうなのだ・・・
また育ててくれた叔父を殺してやはり特別メニューで食べさせる。
関係を持った叔母も殺して食べさせる。