明日という過去に (幻冬舎文庫)

評価 4.3

珍しく途中で連城作品にやや飽きたという作品だった。
書簡体で綴られているのだが、最初の半分くらいは非常に面白い。
綾子という女性と弓絵という女性がいて、二人は学生時代からの姉妹のような間柄で、夫婦づきあいもあった。
そして弓絵の夫が癌で急死する。
お互いにどういう生活を本当は送っていたか、というのを吐露していく場面はとても怖いし読み応えがある。
大きな謎として、
死ぬ間際の弓絵の夫の
・明日・・・という言葉の意味
・夫の横に来ていた、黄色っぽい服を来ていた女性は誰か
というものがある。
それと同時に歪んだ二組の家族の姿があらわになっていく・・・

面白いのに途中で失速しているのは、手紙を真剣に読んでいると、
「実はここまでは嘘です」
というのが出てきてここでがっくりと興が削がれるのだ。
一度ならまだしも何度もこれでは、最初から疑って読まないと、ということになる。
そして途中でどうでもいいや、この夫婦と思ってしまう。
逆転につぐ逆転、どんでん返しにつぐどんでん返し、とも見えるのだが、そこもとても微妙だ。
なにせ途中で私の心が離れているのだから。

途中からあることでシフトしていくのだが、そこすらも私にはどうでもいいや、という気持ちになっていた。
心理面を深く描いているともいえるし、弓絵の夫のことを考えると怖い気もするのだが、それすらいいかなあ・・・と鼻白んだのだった。