占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社ノベルス)占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社ノベルス)
(2008/01/11)
島田 荘司

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評価 5

改訂完全版が元のとどう違うのかは知らないが・・・・

最初の小説内小説の異常さにまずひきつけられる。
頭のおかしい人間が書いたような文章で、自分が悪魔つきだと豪語し、自分の6人の娘の生まれ月を占星術で見て、集めればアゾート(石)になるとし、人間の体を6つの部分とし、六人の処女の肉体から完璧なアゾートを作ると言う計画・・・
これが延々と続いていく。
ここが最初の部分のとても重要なところだ。
この手記、読み終わったあとで読み直すとまた感慨深いものがある。

そして事件が起きるのだが、なんせこれは40数年前の話なのだ。
これをめぐって日本中が頭をひねったが答えが出なかった、というのを占星術師の御手洗潔が解きましょう、という構図になっている。
しかしこの場合御手洗潔は鬱状態であり、心身ともに病んでいると言う設定だ。

3つの事件がある
・そもそもの最初の小説を書いた画家が殺される
・一枝が殺される(レイプされて殺されている)
・6人の娘が殺される(しかも埋める深さがそれぞればらばらで場所もばらばらであるという異常事態(場所についてはアゾートと関係している)

6人の娘を殺そうと計画した小説を書いた当の本人が最初に殺されているので、後半の娘殺人は一体誰がしたのか、という謎が起きてくる。
更に埋めるのには、かなりの力が必要なので勢い男性の犯罪と言う推理も成り立つ。
しかも一枝事件と同じだとすると彼女はレイプされているので、男が一枝を殺したと言う推理が成り立つ。
当然ながら、最初に死んだのは画家ではなく画家のそっくりか画家に見せかけた誰かか、という推理も出てくる。
とすると、画家はどこかで生きているのか(ということで京都に石岡が必死に訪ねていく原動力にもなる)

途中の体が埋められていた日本地図というのを見て色々と推理をめぐらせた。
そして途中で実に意外な一通の手紙が出てくる。
ある人間のしたためた手紙がその娘によって御手洗の下によこされるのだ。
これが実に面白い。
自分がはまってしまった女性の策というのは一体なんだったのか。
そのあと自分がさせられたことというのは一体なんだったのか。
この手紙の主は死んでいるのだが、死ぬまでその疑問は解くことが出来なかったのだ。
そして私は、こちら側から見ているので、(これがあの疑問を解く鍵の一旦なのか!)と一部わかるのだ。

京都に行く御手洗とワトスン役の石岡がいる。
京都に行って関係者に話を聞いていくのだが・・・・・
ここらあたりもとても読ませる。

そして驚愕のラストがある。
トリックそのものも驚愕したし、実は誰が犯人でどこにいたのかという推理にも驚いたのだが、ラストの一つの手紙にもまた驚いたのだった。

以下ネタバレ
・途中の驚くべき手記は
ある一人の純朴な警察官竹越の手になるものであった。
竹越は帰宅途中に一人の女性に誘惑され関係を持つ。
その翌々日事件の写真を見てそれが一枝である、と知って驚愕する。
関係は持ったのだが彼が殺したのではないと言うことを言いたいがそれは言うことが出来ない。
そんな彼の元に、ばらされたくなかったら死体を指示通りに埋めろという命令が来て、その通りに実行。
生涯の秘密とする。
・しかし
実は関係を持ったのは一枝ではなく、画家の最初の妻との間に生まれた娘時子だった。
時子が一枝を殺し、その隣の薄暗い部屋で画家と関係を持ち、そのあと一枝がレイプされたように工作したのだたった。

・生きていたのは、時子。
細工は6つの体があるように見せかけ(手記で誘導し、実際でも図があるとおりに)自分を死んでいるように見せかけた。
そして京都にひっそりといたのだ。