2012.01.23 検死審問
検死審問―インクエスト (創元推理文庫)検死審問―インクエスト (創元推理文庫)
(2008/02)
パーシヴァル ワイルド

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評価 5

大変面白かった。
古典的ともいえる手法であるけれど、笑いに満ちた会話もあり(なんてしつこくお金の話をするんだろう)くすっと笑いつつ、謎解き合戦に巻き込まれていく。
比較的、犯人はこいつだろう、というのは推理できる。
でもどうやって?とか、なぜ、とか、いうところまでは推理できない。
ここがぱっと開けた時、前の部分に描かれたことを復唱してみると、また感慨深い。

話は、最初の方でなかなか始まらない。
というのは、リー・スローカム閣下が検死官になった死亡事件であり、これは陪審員がいるけれど、別に裁判でもないという曖昧な位置づけのことだ、というのが語られているからだ。
最初の方では何が起こったかさっぱりわからない。
牧歌的な、芝刈りのベン・ウィリットの生涯の話がのんびりと続いていく。
(この話もあとから読むととても面白い)
ここで、ぱっとある事件が言われる、それは、ベンの昔の友人が銃弾を受けて死んだというものだった。

結局物語は
女流作家ミセス・ベネットの屋敷で起きた2つの殺人事件だった。
一人は、ベンの友人でもあり、いまやベネットの実務の全てを取り仕切っているドワイト・チャールトン。
一人は、ミセスベネットの義理の親戚にあたるウィリアム・ミンターンだ(自殺とも言われている)。
このミンターンはとても嫌な奴で、金を持っていて年若いアリスという女性を無理矢理妻にしていて義理の両親を養っていると言い散らかしている。
誰にも嫌われている人物なのだ。
しかもドワイトの手にあったのは、ミンターンに殺されたというものだ。
更にこのパーティーに呼ばれた人間で、いつもいつもベネット作品を酷評しているベネットとは犬猿の仲の文芸批評のスティックニーがいた・・・・

色々な人の証言の錯綜する真実。
これを見極めていく楽しさが確実にこの作品にはあった。

以下ネタバレ
・一見ドワイトは良さそうな人物に見えるが
脅迫者であった。
彼が金をせびっていたため、貧乏な親戚にベネットは金を回すことが出来なかった。
脅迫の中身は
ミセス・ベネットは、作家になる前に旅芸人であった。
そこで銃を扱うショーをしていた、夫とともに。
夫は死んだことになっているが、実はこの屋敷の執事である。

・毒舌批評家スティックニーは以前に死んでいた。
よってここにきているのは偽スティックニーであり、新聞記者であった。

・ミセスベネットは、
・ドワイトを殺したのは、ミンターンであり、ミンターンは自殺したという確実な証言をする。

・そのあと、ミンターンを殺したのは執事(実はベネットの夫)であると執事が言う。

・しかし本当の本当の真実は
拳銃の扱いに慣れていたミセス・ベネットが両方の殺人者であった。
(が、これは検死審問であり、この真実は検死官のみ知っているので、陪審員は二人とも神経系の病気で死んだ、ということになった。)