楽園のカンヴァス楽園のカンヴァス
(2012/01/20)
原田 マハ

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評価 5

絵画ミステリとしても面白いし、普通の小説としても面白いし、実は恋愛物としても面白い。
美術に興味があれば更に面白いし、ルソーという日曜画家に興味があれば尚更面白い。

この小説の中で美術界の内幕的なことがあれこれ描かれている。
ぼんやり思っていたことも、そうなのか・・・・と改めてわかったような気がした。

大原美術館の監視員早川織絵の話から始まる。
彼女が絵画に対峙している凛とした姿は誠に美しいと言うか神々しい。
冒頭で美術館に所蔵されている作品についての話も既に読ませるのだ。

そして、ニューヨーク近代美術館(MoMA)所蔵の『夢』を貸してくれるという話が舞い込む。
その条件は織絵を日本側の窓口とするということだった。
それを言ったのが、ティム・ブラウンと言う男・・・・・

織絵とティムがかつてもう一つの夢の真贋を見極めてほしいという対戦をしたと言う過去が素晴らしい。
ここに絵にまつわる7日間の物語を読んでから、真贋を見極めてほしいという条件がつく。
入れ子のようになっている7日間の物語もまたルソーの物語として読ませるのだ。
一方で、ティムがトムという主席キュレーターを偽っているという嘘、
その嘘を知っている人が出てくると言う驚き、
しかし一方でルソーを見たいと言う掛け値なしの情熱、
そういうものが相俟って、物語は深みを増していく。
そして、なぜ、この真贋決着は行われているのか。
金持ちの道楽に過ぎないのか。

ルソーとピカソの交流と言うのも実に興味深かった。
織絵とティムのほのかな愛情の育みも見るべきところがある。

以下ネタバレ
・ティムと織絵を招いたバイラーは、ヤドヴィガ・バイラーの夫のジョゼフだった。
ヤドヴィガは物語の中でルソーのモデルになった女性。
ジョセフはルソーを認め集めた男。
そして物語を書いたのもジョゼフだった。