2012.03.30 共喰い
共喰い共喰い
(2012/01/27)
田中 慎弥

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評価 4.4

自分として好みの範囲の話ではないなあと思った。
それでもとても上手い小説、ではあるというのも同時に思った。

表題作ももう一作も日本の土着の話、をベースにした話だ。
血、というのをどちらも感じさせられた。
しかし表題作は闇を、もう一作の第三紀層の魚は光を感じると言うところが大いに違うだろう。

共喰いは、自分の母と父が別れた原因が父の性行為中の暴力によるものだ、と主人公の男の子が知っているところから始まる。
父の体たらくを見て、自分もいつかそうなるのではないかという恐怖が常にある。
彼女と性行為をしていて、彼女にいつか暴力を強要するのではないかと言う恐怖がまとわりついてはなれないのだ。
そして、継母と実母が近くにいて実母は魚をさばいて売っていて、継母は父とともに暮らしている。
ひょんなことから、恋人と行き違いになり恋人に起こった事件から話はぐるっと展開していく。
正直気持ちの良い話ではないのだが、妙に身にひきつけられてしまう怖さがある。

第三紀層の魚は介護の曽祖父と孫の男の子のツリの話が微妙に連なっている。
リアルなオシメかえ作業がありながら、そこにチヌという魚がつれたかつれなかったかという話が織り交ぜられているのが興味深い。