2012.04.23 林檎の木の道
林檎の木の道 (創元推理文庫)林檎の木の道 (創元推理文庫)
(2007/04)
樋口 有介

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評価 5

なんていい話なんだろう。
樋口有介の小説を何冊か読んでいると、同じパターンがあるのに気づく。
・夏
・たいして大きな知り合いでもないちょっと前、または昔の恋人が謎の死を遂げている。
・なぜかその死の真相を突き止めることになる。
・その真相を突き止めるのが男の子とそれに付随する元気のいい女の子だ
特にこの林檎~の話は、ぼくと、ぼくらの夏に形としては似ている。
男の子がこの場合は悦至という17歳の男の子で。元恋人が海で自殺したと聞かされる。
なぜ?と思いつつ、再会した(これが幼稚園からの再会であり、タイトルとつながる)涼子と一緒に事件の真相に当たるのだ。

面白いのは、段々に「ある一人の女の子」のいろいろな面が見えてくる、というところだ。
渋谷にいたという女の子。
そこで何をしていたかというのも徐々に明らかになっていく。
最初のところで、悦至の母がバナナの研究者であり、登校拒否の同級生の関西訛りのちょっとした男の子がやってくる場面がある。
ここが後半とてもきいてくる。

何よりも、悦至のたたずまいがとても格好いいのだ。
付き合って亡くなった女生徒は、お世辞にもいい性格とはいえない。
それなのに、悦至は一言もそういうことは漏らさないダンディズムをこの年で持っているのだ。
そして理不尽なことで悦至に一方的に怒っている(小さい時のスカートめくり)涼子がいる。
彼女の行動もぷんぷん最初していて、段々に悦至に惹かれていく様子がたまらなく可愛らしい。
(金魚すくいの場面が可愛らしいことと言ったら!)