2012.05.09 サファイア
サファイアサファイア
(2012/04)
湊 かなえ

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評価 4

燃焼し尽くせない、と言った印象の短編集だった。
好きなのもあるけれど、普通もある。
ただ、前作の境遇よりは格段にこちらの方が読ませると思った。

真珠・ルビー・ダイヤモンド・猫目石・ムーンストーン・サファイア・ガーネットという宝石にまつわる小説、という流れになっていて、最後の二つが続き物のようになっている。
そして更に、ガーネットの冒頭は、後味の悪い小説のレビューをネットで探してしまう作家、の話なので、湊かなえ自身の告白を思い出したりした。
最後の二編のサファイアとガーネットは話は面白いものの、偶然が過ぎないか。
そこがちょっと気になった。

ムーンストーンは学生時代のいじめから救ってくれた勇気のある少女の話で、学生時代の活写が光る。
これが一番好き、かもしれない、細やかな少女の救いの手というのを随所に感じるし、わけられないピアスの使い方などが心に残る。
そして冒頭はよくわからないのだけれど、ラストになるとその意味がわかり、繋がって行くところも読ませるのだ。
ダイヤモンドは舌切り雀のパロディのような話でファンタジーと言えよう。
雀女のけなげともいうべき心がなんだか伝わってくるけれど、突然こういうファンタジーっぽいのはちょっと戸惑ったと言うのが正直なところだ。

この短編集、最初の2編が普通なのだが、後半に向かって良くなっているような気がした。
と同時に、後半のほうが爽やか路線なので、話の肝ということでは前半の方が好きなのだが。
後味の強烈な悪さ、というのは少なくなっているのが個人的には残念であった。


以下ネタバレ
・サファイア、ガーネットは
自分の死んだ恋人が犯した罪、というのが詐欺行為だったわけだけれど、それにまつわる人があまりに偶然に出過ぎていないだろうか。