最果てアーケード最果てアーケード
(2012/06/20)
小川 洋子

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評価 4.9

漫画の原作らしいけれど(というコンセプトで作られた話らしい)、こういう話、読んでいていいなあ・・と思う話の連続だった。
ちょっと不思議な世界。
ちょっと不思議な寂れたアーケード界
そこには通常のアーケードにはないような商店が連なっている。

使い古しのレースを集めているレース屋(遺髪でレースを編む遺髪レースも含まれるようになった
お父さんが作った読書休憩室
ありとあらゆる動物の義眼を作っている義眼屋
ドーナッツ専門店の輪っか屋
紙を扱う紙屋
ドアノブ専門店
未亡人が経営する勲章店
皆を見ている商店街の象徴の大時計

こんなものが軒を連ねている。
それぞれの店でちょっとした出来事があり、そして漂うようにその話は静かにフェイドアウトしていく。

最初の部分でお父さんが映画館の火事で亡くなった、と明記されているのに、話が子供時代になっていってお父さんが普通に出てくるのでそれをふっと忘れている。
けれど最後の最後でお父さんがそうなったまでの経緯が語られ、途中でノブ屋のある小さな部屋にこもる話と緩やかにつながっていく。
またドーナッツのおじさんと元オリンピック体操選手と自称する女性との淡い故意の話も別のところでこの女性の正体がつるっと出ている。
また自分のウサギラビトの義眼を作ってほしいと懇願する女性の話も別の場面で出てくる。
小学校のときに百科事典を読む少女が読書休憩室にやってくるが、これまた別の話につながっている。

ひょっこり顔を出す別の話。
そして静かな死に全体が包まれているような静謐の雰囲気の物語であった。