バイロケーション (角川ホラー文庫)バイロケーション (角川ホラー文庫)
(2010/10/23)
法条 遥

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評価 4.8

自分と同じ人間が存在している、そしてそいつが勝手放題している。
こんな恐怖があるだろうか。
自分が偽札を使っていないのに、確かに自分が使っているという証拠があり、警察に連行されるという場面からこの物語は始まる。

途中で自分と同じ容姿、同じ行動するバイロケーションと名づけられた存在の被害者同盟というのが出てくる。
このあたり、秘密結社のようでとても面白い。
よく知られているドッペルゲンガーのようなものだ。

この物語、とても皮肉なのは、追っている内に、外側からはもちろん、自分自身もバイロケーションなのか本来の自分なのか混沌としてくる、というところだろう。
外部の人間のバイロケーションを退治したつもりで、もしそれが本物だったらどうするのだろう。
という思いが常によぎっている。
バイロケーションの目印が、目立つことだったらいいのだが、それが一向にないというのがこの話の奇妙さであり怖さであると思う。

会から派遣された奇妙なボディーガードの面々の部分もまた読ませる。
ラストは驚いたあとの後味の悪いラストが待っていた(ほめ言葉です)