ナミヤ雑貨店の奇蹟ナミヤ雑貨店の奇蹟
(2012/03/28)
東野 圭吾

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評価 4.9

好感を持って読み終えた。
ミステリと思って読み始めたら、まさかのSF仕様だったが。
タイムトラベルの一種だけれど、人間が行くのではなく手紙が行く、というところがミソだ。
そしてそれは過去から未来への人生相談、なのだが、未来の人は未来だから全体像が見えている。
そしてなぜここがそういう場になっているのか。
その作り方も徐々に明かされてい久野と同時に、なぜそういう答えを書いたのかというのも明かされてここは小さなミステリにもなっていくのだ。

過去、が思い切り過去ではなく、バブルの前の過去という近過去なのでノスタルジックで懐かしい。
携帯もパソコンもなかった時代の過去なのだが、そこから日本がどう歩んできたかという側面も見せてくれる。

ポストを介して向こうとこちらをつなぐ、それが過去と現在がつながっている、というSFってフィニイ作品でもあるし、映画でもあるし、それほど目新しくはない。
でも恋愛系ではなく悩み相談であり、それが「現代の目」から見ると、どうなるか、という部分がとても面白い。結末がわかっている人の悩み相談なのだ。
オリンピックの練習と彼の看病とどちらを取るか、というのには、その翌年オリンピックが参加しないオリンピックだとかわかって遠まわしに送るのだが、ここがじゃあ彼の看病、とならないところが憎い。
魚屋さんの音楽の話も答えがわかっていても物悲しい。
(現在の厳しい就職事情がなかった時代への返答という意味でも興味深い)。