2012.09.03 蘆屋家の崩壊
蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)蘆屋家の崩壊 (ちくま文庫)
(2012/07/10)
津原 泰水

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評価 4.9

猿渡君物語。
集英社文庫の時に読んでいたが、一編追加されたと言うので再読してみた。

30歳過ぎてもまだ尚定職についていない猿渡が、小説家「伯爵」とともに不思議な旅に出る・・・

場所ごとに奇妙な現象が起こるのが読んでいてとても引きこまれる。
豆腐が好きと言う二人なので、豆腐談義もまた楽しいのだが、アッシャー家の崩壊をもじった蘆屋家の崩壊は、ある集落での崩壊の出来事の一部始終が描かれていてそこも読み応えがある。
前回もわからなかった話が、双子の話のケルベロス。
ラスト、いったい誰がどう語っているのだろう。

更に一読して忘れがたい埋葬蟲(蟲の様子がぞわぞわするくらいに怖い)
かにを食べるのを躊躇したくなるカルキノス
がこの話の中で一番気味が悪いだろう。

一編追加の奈々村女史の犯罪は、書かれた「物語」と、現実らしきものと(殺したと言っている)、もう一つの現実らしきものと(殺してないらしいが、幽霊は出てきている)などが渾然となっているのが読み応えがあり、ラストの混沌具合も誠に好ましい。