夜毎に石の橋の下で夜毎に石の橋の下で
(2012/07/25)
レオ・ペルッツ

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評価 5(飛びぬけ)

物語性に富み、しかも最初の話で感じた疑問が最後の方まで読むと解けてくると言うミステリ的な面白さがあった。
読んでいてこの豊穣な物語世界にどっぷりとつかったのだった。

1589年にプラハのユダヤ人街に疫病ペストが襲う。
それをなぜかというのを調べたら、子供の霊が、姦通の罪への神の怒りだと言った。
そして高僧ラビが赤薔薇、ローズマリーの植わっているところに行き、ローズマリーを引き抜く・・・


この話がなんだか最初よくわからない。
ローズマリーが何なのか。
赤薔薇がいったい何なのか。
それを引き抜くと言うことは何なのか。
最後に一行ある、ルドルフ二世の悲鳴をあげて起きる話は何なのか。

そしてこれの答えはすぐには出ずに、じわじわと色々な物語が語られていく。
・処刑を明日に控えた男が、犬と会話をする話
・調子付いて武人を侮って、二人の決闘になってしまって踊り続けなければならなかったある貴族の話
・ルドルフ二世が森で出会った悪鬼から横取りした銀貨の話
・ボヘミア独立を考えている青年貴族とその一族の予言の話
・インドジフという男ではない男を彼と認めたルドルフ二世を皆が気が狂ったと思っているが実は本当にそうだったという落語のオチのような話

行きつ戻りつしているのだが、話の中に何度も出てくるのが、
ルドルフ二世とユダヤ人豪商のマイスルだ。
そしてマイスルの美貌の妻がキーになっている。
マイスルがいかにお金持ちになって行ったか。
ルドルフ二世の豪奢な生活のために貧窮した王室はマイスルをいかに頼みの綱にしていったのか。
その一方でマイスルの妻のしたことは・・・
これらが網の目のように物語を作り、うねるように話が進んでいく。

そしてこの小説全体が、ただただ物語を語っているのではなく、途中途中である家庭教師が語っていると言う外枠の話もまたある。