夜の国のクーパー夜の国のクーパー
(2012/05/30)
伊坂 幸太郎

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評価 5

最初、猫が話し、架空の国で、というので乗れるかどうか心配だった。
が、読み始めてみると、非常に面白かった。
寓話のような形式で話は進んでいく。

ある架空の国がある。
そこは外に向かって塀を立てている、攻めてこられないように。
戦争が始まって、敵の国がやってきた、見たこともない馬に乗って。
治世をきちんとしていた冠人が民衆の目の前で見たこともない鉄砲で殺される。
冠人の息子の酸人は悪人であり全く民衆のことを考えもせず、保身に走る・・・・

一方でこの国にはクーパーの伝説がある。
クーパーとは巨大な杉の木であり、それを倒すために毎年少しずつの人数の男達が狩り出され、クーパー狩りにいっては帰ってこない。
クーパーに液をかけられると透明になってしまう・・・


猫が話す部分、仙台から役所づとめの妻に逃げられた倒れている男の部分、クーパーの物語部分と3つの部分に分かれている。

この物語が面白いのは、こんな形なのにミステリになっているということだ。
伏線があちこちにあって、それが最後のところで見事に回収されていた。

以下ネタバレ
・この国と外の国が同じ大きさの円、というのは最初に猫が語る。
しかしこれは嘘であり、この国は街のような小さな国である。
そして戦争と言うよりも既に外の国の属国のようになっている(というのを皆は知らないが、統治者は知っている)

・クーパー狩りに行っていた複眼隊長こそが、この国に最初に入り込んできた敵陣の一人だった。
敵陣と言う形をとって、今までクーパー狩りと称して連れて行った人間を町に戻したのだった。

・最後に人間の大きさが書かれているところに驚いた。
この話の最初の方から読んでいくと、人間は猫より大きいので普通の人間と思っていると
巨大な人間だということがわかる。
あちらが小さいのか。
こちらが大きいのか。