2012.11.11 奇貨
奇貨奇貨
(2012/08/31)
松浦 理英子

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評価 4.8

タイトルが何のことかなあ・・・と思っていたら、こういう使い方とは!
ここにまず脱帽した。

表題作は、まず中年男性作家の哀れさがあり、そこにプラスおかしみが滲み出ていた。
(奥泉小説のクワコーをなんとなく思い出したりした)
これがまた「なんともいい味なのだ。
彼が憎めないのでこの話全体がとても愛すべき話になっている。

レズビアンの七島とわかっていて同居していて体の関係もないのに彼女に興味を覚える男。
その友情と愛情とのはざまに否応なく立って行く姿が秀逸だった。
途中で違犯の行動に出てさえ、彼の行動が憎めない。
滑稽味しか彼には覚えないのだ。
彼が同居人に対する思いが、嫉妬なのか、興味なのか、そのあたりは読者によって違うのだろう。
そのあたり渾然としているところがまた読ませる。

セクシュアリティーのありようも考えさせられた。
後半の「 変態月」も、女子高生の殺人事件とクラブ活動という奇妙な組み合わせながら、これまた同性間のあれこれが心に刺さったのだった。