ゼラニウムの庭ゼラニウムの庭
(2012/09/15)
大島真寿美

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評価 4

一族の秘密の話・・・って何だろう?
そういう興味で読み始めた。

この物語、静謐であり一つの家族のある秘密を軸に、その周りの人々の様子なども精緻に描かれていてそこはとても好感が持てた。
が、秘密、というのが明らかになった時、それがSF的な扱いをこちらがしていいのか(エンタメ的と言ってもいい)、それともシビアーに見た話という扱いをしていいのか、そのあたりが非常に微妙な雰囲気だったのだ。
それが最後まで私には付きまとった。

これを「一つの病」と考えれば(なんだかそういう雰囲気が物語全体には漂う)、下手に動けば差別というべきものを隠している一族のようにも見える。
けれど「一つのSF的な突拍子もない出来事」と考えれば(と読者は考えたい、だってあり得ないことなのだから)、物語全体の雰囲気とそぐわない。

このあたりが私にはどう受け止めて良いかわからない小説でもあった。
また最後の最後で、この当人の手記があるが・・・これがどうなのだろう。
なんだか私には非常に悪意に満ちた(この人のために皆が右往左往しているのに)手記のように見えて仕方なかったのだが・・・・

以下ネタバレ
・「年をとらない病気」
というのにかかっている話であるので、これがヴァンパイアとかそのあたりも当然思う。
一種の異形のもので全員が隠そう隠そうとしているという。
双子の一人のうちがかかった病気。
一人がこれなので、もう一人がどんどん年を取っていくのを年をとらない方が見ていくことになる。
若さの盛りにあるものと、年をとるものと。
年をとるものはそれはそれでやるせない。
若さの盛りにあるものは、年をとらない不気味さというのをずうっと感じている。

・と思っていたら
年をとらずにいるがために、自分の親族の(しかもずうっと実際は年下の)旦那を誘惑ってあり得ない。
ここらあたりが私の割り切れないところなのだ。