高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
(2012/11/09)
P・D・ジェイムズ

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評価 5(飛びぬけ)

読んだ後、多幸感に包まれた。
なんていい話なんだろう。
ミステリとしても(小粒だけれど、伏線とかがきちんとしている)、まとまっている。

タイトルでわかるように、オースティンの作品をベースにしているが、それを読んでいなくても最初のあたりでまとめてあるので(これもまた非常に面白い、エリザベス側ではなく外側のおしゃべりすずめのおばさんたちの話の見方が如実にわかる)なんら支障がなく本文を読み進められる。
けれども、読んでいたら
(あの人はこうなったのか!)とか
(エリザベスとダーシーは!!)とか
(あの問題の人は!!)とか
そういう思いが必ずやよぎるだろう。
結婚してちゃんちゃん終わりました、はい幸せに暮らしましたとさ、で終わるのではない楽しさがここにはあるのだ。

ダーシーとエリザベスが住むペンバリー館の風景が実に美しい。
そこでエリザベスがどう采配をふるって生きているかというのも伝わってくる(ここでやっぱりエリザベスは賢い女性だなあというのがあちこちでわかる。しかも重要な人物を味方につけているし)

そんな中嵐の夜に飛び込んできたのがリディア(エリザベスの妹)だ。
彼の夫のウィッカム(懐かしい!またこいつが問題を起こしたのかと思った・・・・)が殺人犯になってしまった・・・

リディアのいつもの勝手ぶりも感じ入ったし、また穏やかなジェーン・ビングリーがいつもいつも救いになっているのもまた特筆すべきところだ(ジェーン像を思う時に、映画風とともに去りぬのメラニーを思い出す・・・)。
この話、穏やか方面の人が各所にぽっと配置されていて、たとえば、奥さんは俗物であるのにこの人は実に善良で光の塊のようなエリザベスの父などだ。
彼が来るだけで皆が安心して、そしてエリザベスも安心して暮らしていける(俗物の奥さんにすぐ呼び戻されてしまうところが悲しいが)
またレイノルズ夫人もエリザベスの片腕になってくれたことが、なんて大きなことなのだろう。

・・・
殺人事件のミステリ部分では、最初のところで放心状態のウィッカムが森で発見されたと言うことに加えて、その直前にフィッツウィリアム大佐がどこかに行ったいた、と言うフックがある。
そしてどこに行っていたか、というのは後半の方までわからない(意外な真相だった)

意外性もあり、そしてラスト非常に明るい展望があり、映像が見えてくるようなそんな美しい作品であった。