残り全部バケーション残り全部バケーション
(2012/12/05)
伊坂 幸太郎

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評価 5

なんてたって面白い。
裏家業のコンビ、溝口と岡田の軽妙なやり取り、「彼」の過去、ずるずると繋がる物語、これとこれが繋がってあれとあれが繋がってこうしてまとまっていくという面白さ、コンゲームっぽい楽しさ、それらが全てぎゅっと濃縮されて詰まっている。
中に虐待とかの暗いテーマも潜んでいるのに、それすらぱくっと笑いで収めて行く手腕は只者ではない(この父親への脅迫場面、大爆笑しながら読んでいた(タキオン作戦→ある映画をモチーフとしていてそこもまた面白い)

溝口の言葉一つ一つが重みがあり、なぜこの人の言葉に感動するんだろう、と思いつつ、全部を記録したくなるほどだった。

冒頭の掴みが非常に秀逸だ。
崩壊した家族が最後に一つだけ適番メールがあってそこにドライブしませんか、がある。
それに対して、普通は乗らないのだろうが、この崩壊寸前家族は乗るのだ。
しかし、ここにはまた別の物語が裏に潜んでいた・・・・
このあたり、実に裏側を見ていると面白い。

特にラストの飛んでも8分は、裏の裏の裏にいく痛快な物語だった。
いい加減さ、というのが話全体に実に言う巻く作用しているように見える。
そしてラストのまたあとを考えさせる一行が、冒頭のメールの話にもやや繋がっている。
ここもこういう終わり方で大変感動した。

以下ネタバレ
・岡田が小学生時代の話がある。
この時に、ビルの上でアドバルーン係の男として登場しているのが溝口で、この時点で溝口は岡田に出会っている。
・タキオン作戦のある映画は、ターミネーター。
自分が未来から来たあなた、と言う設定で、虐待している父親を脅迫する発想に笑った。
・『検問』で溝口と組んでいるのが太田。
この太田が、岡田の小学生時代のインタビュアーになっていて後の映画監督と言う触れ込みになっている・
溝口は太田からこれを聞いて、岡田が自分が出会っている小学生だと気づく。