車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫)車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫)
(2012/12/07)
車谷長吉

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評価 4.7

とても不思議な人生相談だった。
普通の人生相談が相談者側は並んでいるのだが、それに対しての車谷長吉の答えが答えであるようで答えではない。
かといって、上から目線の抽象的な答えでもない(というのが人生相談に多い)。
一種の自分卑下なのであるし、自分はもっとこういう悲惨状況なのですよ宣言なのでもあるし、見方によっては自分語りにもなっている。
何度も出てくる自分の体の障害
そして結婚の実像(あからさまでここまで書いていいのかと思うほどに書いている)
がさらけ出されているのに、そこにすがすがしささえ感じるのはなぜだろう。

これを読んでいて、坊さんの説法を読んでいるような気すらした。
じわっとさとされていくのだ、こんな悩みなんてちっぽけなんだと気づかされる。
それは自分より状況が悪い人と比べるということではなく、自分の内部から、何かしらが沸き起こってくるのだ、じわっと。
絶望と向かい合って文章を書いていく作家、そんな感じが漂っていた。
(小説作品も私は好きだ)