2013.02.05 満開の栗の木
満開の栗の木 (小学館文庫)満開の栗の木 (小学館文庫)
(2013/01/04)
カーリン アルヴテーゲン

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評価 4.4

二つの話が語られていく。
一つは、お金があるのに絶望して自殺を図り、ある宿に入ってくる男の物語。
もう一つは、お金がなく旦那も若い女性と出て行ってしまい娘ともうまくいっていない、辺鄙な宿を切り盛りする女の物語。

この話、ミステリだと思って読んでいたら、違ったかなという気持ちがした。
ヴェルネルの存在がミステリアスといえばそうで、確かに彼の来歴というのはミステリではあったのだが。
どちらかというと、家族小説の趣があり(純粋には家族だけじゃないので家族小説とは一概に言い切れないが)、人の心の再生の物語だった。

人から疎まれて暮らしているヴェルネル。
彼と親しくすることで世間体を最初は気にしているヘレーナ。
隣人ともいえないくらいだったが、段々その家庭の事情に深入りすることになるアンナ・カーリン一家(彼女との遠い日の夏の思いで場面が美しい)
そして
なんと言っても、お金があることは一言も言わず、壁塗りを買って出たアンダシュという男性の存在。
これらが渾然となって話が紡がれていく。