おふくろの夜回り (文春文庫)おふくろの夜回り (文春文庫)
(2013/02/08)
三浦 哲郎

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評価 5

しみじみと良かった。
滋味溢れる文章で、作家の日常を描いているのに読んでいて心地良い。
それは決していい話だけでもないし、感動的な話ばかりでもないのに(鼻に豆を入れた話とかいびきの話とかいればの不具合の話とか結構苦笑いの話もある)それでも読ませる力があるのは、美しい日本語だからだ。
大作の油絵というより、クロッキーで描いたデッサンと言った体の身辺雑記だ。

表題作のおふくろの夜回り、は、寒い地方特有の昔の習慣なのだろうか。
寒さが忍び寄る夜にみんなの間を回る行動が、「ほたほた」という独特の擬音とともに忘れがたい。
またラストの地唄黒髪の思い出、は、あのお姉さんは長生きなさったんだなあ・・・とここも三浦哲郎の出自を思い感慨深かった。