2013.03.12 跡形なく沈む
跡形なく沈む (創元推理文庫)跡形なく沈む (創元推理文庫)
(2013/02/27)
D・M・ディヴァイン

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評価 4.9

最初この話で出てくる話といえば、ルースと言う女性の話だ。
彼女の母が死ぬところから話が始まって、母が娘にひた隠しにしていたある秘密というのを金庫からすばやくルースが見つけ出し、弁護士の手で葬り去られる前に事実を知ってしまう、というところが読者の前に提示される。

じゃあルースが母の遺品から知っている小さな都市シルブリッジに行った復讐物語になっていくのかと思ってこちらも読んでいくと、そうではない。
途中までそうっぽく見えるのだが(あちこちに行ってはいろいろなことを聞きまくっているので)、実はルースと言うのはある時点で用をなさなくなるのだ。
彼女の不可解な行動というのは、小さな町の人々に動揺を引き起こす。
それはその町の議員選挙が近いというのもあるのだが、過去へのある糾弾ということも見えてくるからだ。

そして殺人事件が起こる、なぜその人が死んだかというのがわからないまま。

・・・
ケンという男が前半で同棲しているのだが、この男がなんとも私には解せなかった。
過去の痛みというのがあるのだろうが、なぜこんな女とと!(エリザベス)
ケンが後半変わっていく姿もあるのだが、(前半のことは忘れてないよ)と私は思ったのだった。
それに対して、元婚約者のジュディのなんて魅力的なことだろう。
頭もいいし溌剌としていて、生き生きとしている。
それでいて、元婚約者のケンをよいように取り計らってあげたりする男気(そう、こちらの方が男らしい)もある。
しかしこのジュディにしても、またしてもなんだか変な男と婚約してしまったりしている(ここもいらっとした)
こうして話は進んでいって、恋愛模様に関してはいらいら!なのだが、殺人事件の真相については、非常に面白いという、矛盾した気持ちで読んでいった。

不安ということで町民全員が駆り立てられている。
小さな町なので皆が全員を見張っているようなものだ。
その知り合い同士の中で起こる軋轢というのもまた読み応えがあった。