2013.05.14 想像ラジオ
想像ラジオ想像ラジオ
(2013/03/02)
いとう せいこう

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評価 4.8

くっきりと分かれる小説だなあと思った、評価的に。
私自身は好きな小説だった。
311のことを小説に書く、しかもこのように軽い感じで書くというのは難しいことだろう。
そこをいとうせいこうはこの小説で成功させている、と思ったのだった。

最初の方で、妙なラジオが流れているらしいとわかる。
しかもディスクジョッキーがやけに明るい口調で話しているのに、読み進めていくと、このディスクジョッキーが木の上からそれもさかさまになって話しているラジオ番組とわかる。
しかもこれを聞いているのは死者である。
ついでに当然ながら話しているDJも死者だ。
死者と死者との想像ラジオがあり、やりとりがあり、そこにリクエストがあり、自分の近況がありDJの家族の消息があり、そして彼らの真の声がある。
そしてこれが実は311の津波のあとの話だということもわかってくる。

とても重いテーマだけれど、心にすっと入り込んできたのだった。