特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
(2012/10/05)
ユッシ・エーズラ・オールスン

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評価 5

とんでもなく面白い!
警察小説と聞いて敬遠気味だったが、もっと早く読めばよかったと心から思った作品だった。

ミステリとサスペンスが融合していて、一粒で二度美味しい、のようなミステリだった。
サスペンス部分は監禁部分で一つの箱のような部屋に一人だけ置かれていると言う状況だ。
ここがぞくぞくするくらいに細かい描写で、監禁しているもの、監禁されているもの、の攻防が描かれている。
なんとかして生き残ろう、絶望の果てに何かを見出そうする失踪した女性議員ミレーデの姿が実に痛ましい。
気圧の変化、という今までに見たことのない監禁に、度肝を抜かれた。
そして彼女の弟が言葉がしゃべれないまま取り残されているのもあとになってとても重要になってくる。
「なぜ監禁されているのか」
これがかなりのページを割かないとわからない。
誰が監禁しているのかすら見えず、たまに聞こえてくる声で想像しているだけだ。
このあたりのもどかしさも、監禁されているミレーデと読み手が混ざり合っていき、更にどきどきはらはらさせる。

そしてもう一つの重要な部分、警察の方は、やる気のない刑事カール・マークが、体のいい左遷で、新設部署に配置されるというところから始まる。
新設部署は、地下であり窓もなく、来た部下と言えばわけのわからないシリア系のアサドだ。
未解決重大事件を扱う特捜部Qが成立した瞬間だった。

しつこくしつこくカールが紐解いていく過去の重大事件。
過去の事件なので、時間があまりにたっていて、そのときの捜査状況に疑問があっても封印されていたりする。
自分の同僚がいい加減な捜査をしたことにいらっとしたりもしている。
しかし、ここで意外にカールはしぶとく捜査を続けるのだ、愚直なまでに。
失踪したミレーデの交友関係から、家族関係から調べていく。
彼女の過去がどういうものであったか、というのも調べていく。
そして開かれる真相・・・・
アサドが変人ではあるが、使える部下であり、アサドに助けられる場面も何度かある。
アサド場面でくすっと笑いながらもカールの活躍にがんばれと心でエールを送ったりした。
(そしてアサドは謎の部分も秘めている。
一体彼の過去に何があったのだろう・・・・)

ラスト、泣けた。
こういうラストになるとは。