2013.05.21 祖母の手帖
祖母の手帖 (新潮クレスト・ブックス)祖母の手帖 (新潮クレスト・ブックス)
(2012/11/30)
ミレーナ アグス

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評価 4.7

小品、だと思う、美しい余韻を秘めたような小品。
官能的であるのけれど、決してそれに溺れることもない物語だ。

話はイタリアサルディーニャにいた祖母の物語だ。
彼女は若い時に母から叱責されるほどの空想癖があり、そして相手が辟易するくらいの恋文、というのを出しては婚約破棄をされていた。
彼女が夢見ていたのは、愛。
愛がともかくも男性から欲しかった。
これは、現代風に言えば夢見る少女、ということだけれど当時許されなかったのだろう。

そして唯一その家に泊まっていた男性が結婚を承諾してくれいやいや結婚する。
最初の頃は関係もなく、いつも二人でベッドの端と端に眠っている。
夫はそのはけ口を売春宿に求めていく・・・・
そしてある時期から売春宿のサービスを繰り返して行うようになる・・・

祖母は、腎臓の結石のために何度も流産した。
そして彼女はその温泉治療のため初めて本土に渡り、一人の片足の帰還兵と恋に落ちる。
彼との初めての愛、美男子ぶり、そして数々のきらめくような会話、音楽の話・・・・

・・・・・・・・・
サルディーニャ地方が美しく描かれ、その中で暮らしていく一人の女性の話が静かに心を打つ。
帰還兵の彼との語らい、というのもまた、出会いから盛り上がっていくところまでが非常に美しく音楽のようだった。

最後、私はとても驚いた。
祖母が途中で何度か後悔した(祖父のことについて)というのはこういうことだったのか。

以下ネタバレ
・この帰還兵の手紙を見つけて、
帰還兵の話自体が、帰還兵はいたが特に恋仲にもならず、普通の関係だったというのがわかる。
いわば、祖母の空想だったのだ。
ここまで、出来た子供は帰還兵と祖母の間に出来た秘密の子だと思っていた