2013.05.26 玉磨き
玉磨き玉磨き
(2013/02/27)
三崎 亜記

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評価 4.8

とても凝ったつくりになっている。
この不思議な職業とか出来事とか消え行く伝統をルポライターが聞き書きすると言う体裁をとっている。
そしてラストにはその架空文献が・・・
一瞬騙されそうになるくらいに、話も(もしかしてあるかも?)と思わせるような話だった。

表題作の玉磨きは、ひたすらある玉を磨いている職業だが、一時も休むことが出来ない、排泄も食事も一切そこでしているというところが常軌を逸している。
しかもなんのためとかなぜとか一切説明はない。
そこが非常に面白い。
もしこれが磨き続けている、というだけだったら、もしかして現実にあるかもしれないからだ。

分業もまた一人の人が何かを作っている。
でもそれはなんだかわからない、なぜなら全体像を見ていないからだ。
隔絶された部屋で何かをやり続けるというのが、現代の引きこもりとも重なるし、また全体像がわからない何かを作っている、というのもまた社会の中であり得そうな気もするのだ。


古川世代もまたありそうだ。
古川さんという名前の人が特別扱いされ、毀誉褒貶があり、落ちていき、改名まであったというとんでもない物語だが、これなんかも、古川という名前でなくて何かの「出来事」とか「物」とかだったら、実際にあったような気がする(というところが面白い)

通勤用観覧車は、東駅と西駅がありその間は数メートルだ。
東駅から観覧車両に乗った乗客は、何周かしてから同じ場所で降りる(ただし西駅側)
通勤客は数メートルの移動をすることで、何周も乗る。
なぜかというとそれで通勤時間を微調整しているからだ。
ここにも一切説明はない、なぜその列車に乗るのかなぜ遠回りをするのかなぜ微調整しているのかなぜ西駅で降りなくてはならないのか。
これも不条理に満ち満ちている列車なのだ。

ガミ追いは、人間の不調がガミであり、それを追っていく作業の話だが、これまたあり得そうだ。
ちょっとしたガミを探し出していく所がいかにももっともらしい。

新坂町商店街組合は海底で沈んでしまった商店街を守り続ける人間の話だ。
これまた絶対にないのに、もしかして?と思わせる奇天烈な描き方をしている。