聖なる怠け者の冒険聖なる怠け者の冒険
(2013/05/21)
森見 登美彦

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評価 5

楽しかった!
人を食ったこのおかしさって通じる人と通じない人がいると思う。
通じる人に幸あれ!

しかも話が、ぽんぽこ仮面だ。
バットマンでもスーパーマンでもなく狸のお面をかぶったぽんぽこ仮面って・・・ここで脱力して笑った笑った。
そのお面とマントを翻して、京都の町で人助けをするぽんぽこ仮面。
それなのになぜか追われる身になっている・
追っているメンバーたるや、そのネーミングにも笑えるけれど、実態にも大爆笑していた。

全編に笑いが満ち満ちていて、それが京都の宵山の不思議な雰囲気とマッチして、右往左往していく登場人物にこちらも翻弄され、一緒に旅をしている(といっても京都の中ではあるけれど)ような気すらした。
そして笑えることに、主人公の小和田君(こわだくん)は、一向に動かないのだ。
ここが最高に笑える。
彼がすることといったら、いかに充実しただらだら生活を休日に送るか、ということだ。
いわく、座布団の上で南国の夢を見る
いわく、独身寮の自分の部屋で将来お嫁さんを持ったらやりたいことリストを書き付ける
いわく・・・
彼の夢の中に現実の人が現れてくる所も、胡蝶の夢のようでとても良かった。

更に、こちらは元気一杯の探偵見習いの玉川さんがいる。
彼女が、方向音痴と言う設定も笑いに笑った。
どちらに行っても別の方向になぜか行ってしまう玉川さん。

また偽ぽんぽこ仮面になった小和田君が珍しく動く場面が後半であるが、ここが素晴らしい。
宴会の席から次から次へと繋がっていく異世界・・・
ここは四畳半神話大系のあたりを思った。
そして、更に素晴らしいのはその行き着く先にいたものが、なんと!
更に更に、ここに玉川さんのかつてのお父さんとはぐれたお話が絡んでくる所もまた読ませる。

不思議なタバコ屋の御婆さん(猫に成り代わって話す)
アルパカ男(ありえないんだけど、アルパカっぽい人って実際にいるのでここも大いに笑った)
頭つるつるの所長(可愛げのある所長)
ラブラブの恩田先輩と桃木さん(この二人は以下に充実した休日を過ごすか、というのに賭けているので小和田君と対照的・そしてとても重要な場面に登場している)

と脇役もがっちり固めて、一級のユーモア小説になっているのだった。

(細かいネタだけれど、マントの繕い物をしているぽんぽこ仮面の姿に哀れを見ると同時に笑いがこみ上げてきた。
また蕎麦を苦行のように食べ続ける壮絶な人たちの姿が忘れがたい)