2013.07.09 一の悲劇
一の悲劇 (ノン・ポシェット)一の悲劇 (ノン・ポシェット)
(1996/07)
法月 綸太郎

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評価 4.7

好きだった、このミステリ。
どうしようもない不倫男がいて、この男が色々やらかしてくれる。
そのあたりの、おたおたぶりも面白かったし、何より人の心の動きが面白いし、それに付随した最後のアリバイ工作トリックが面白い。
またタイトルにも関係するダイイングメッセージの真の意味がわかった時に、(ああ・・だからか・・・)と思ったのだった。

大枠は、ある子供がもう一人の子供と『間違えられて誘拐され殺されてしまった』という悲劇から始まる。
これで、すぐに思いつくのは、黒沢監督の天国と地獄だ(中にもこの映画のことが書いてある)
子供同士ガ同級生で仲が良く、一緒に学校に行っていたということが悲劇を生み出したのだろう。

ここで複雑なのは
・殺された子供→山倉史郎という男と、冨沢路子という人妻の間に出来た子供
・最初誘拐されるはずだった子供→山倉史郎と本妻との間の子供、なのだが複雑な事情があり、本妻の亡くなった妹次美と三浦と言う結婚相手に出来た子供を養子にしていた。

そしてトランクに6000万円の身代金をいれ走りまわされ、
挙句の果てに受け渡しの歳、史郎は失敗してしまう、あろうことか時間厳守なのに階段から落ちると言う失態を。
これで、路子から自分の子供が殺されたと責め立てられるのだ。

法月倫太郎の謎解きが鮮やかで最後すかっとした。

以下ネタバレ
・最初、殺害動機(自分の子供と言うことを隠したいので)は史郎にあると考えられる。
・しかしその内に、それは違っていて、
元々この話の全てが、史郎の本妻和子の供述が元になっているということを法月が指摘する。
つまり
・子供が誘拐された日、自分の子供を休ませることが出来たのは和子だけ。
・子供を誘拐して、殴ってすぐに監禁することが出来たのも和子だけ。
(共犯者は妹の元旦那の三浦→後に殺されてしまう)
・共犯者からの電話に警察が木をとられている間に、和子は子供を殺す。
・つまり警察の目の前にいると言う鉄壁のアリバイがある。

・車に詰められていたのは身代金ではなく子供の死体
それを三浦が途中で引き取る。
・三浦は階段で史郎が転ぶように画策する。

・密室のダイイングメッセージは
和美を一美と三浦は思っていた(なぜなら自分の妻が次美だから。次美の意味がここで光る)