ジェリー・フィッシュジェリー・フィッシュ
(2013/06/21)
雛倉 さりえ

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評価 4.7

色彩で溢れてかえっている。
最初の章で(ここが賞をもらった部分らしい)、水族館の出来事が描かれているがこれが美しい。
揺らいでいるくらげの中でひっそりとキスを交わす二人の女子高生・・・なんてエロティックでなんて秘密に満ち満ちているのだろう。
ここがラストの章にも重なっていく。
ラストの章では、最初の章がいわば外側から描かれている。

クラス内で孤立している少女夕紀。
彼女に声をかける美少女叶子。
この二人が真底心を分かち合うと思うのだが、(特に孤立している方)、途中で一人の男子高校生と付き合う美少女叶子が裏切るような形になる。
この感じがひしひしと伝わってきた、自分のものだったのに男をなぜか介入させてしまったと言う悔しい気持ち、自分と同一化していたのに、自分とは違う世界に行ってしまった届かないものになってしまった気持ちが。
自分だけは特別だと思いたい年代だ。
自分だけは、私だけは、と思いつつもがいていく人達・・・

叶子と付き合うことになった男子高校生裕輔もまたもがいている一人だ。
叶子と最後の一線までを越えながら、叶子の首を絞めてくれという要求に答えられないもどかしさがある。
叶子の生理中にことに及べない潔癖さもある。
そんな彼もまた、ノーマルかといえば、美人だった姉に憧憬の念をいまだに思い描いている。
禁断の愛といえば禁断の愛だが、彼の中で姉を越えるものはきっといないのだろう。


ある意味、周りからずれていく高校生達の物語、ではあるのだが、それはとりもなおさず、「青春の自意識」というのを肥大させて描いているような気もした。

話としてもとても面白い。
登場人物も良いし、危うさみたいのも出ている。
たまに、妙な言い回しがあるのがやや気になってそこには引っかかったのだが・・・