2013.07.27 幻坂
幻坂 (幽BOOKS)幻坂 (幽BOOKS)
(2013/04/12)
有栖川有栖

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評価 4.8

階段の出てくる怪談物・・・
大阪が舞台になっていてその坂が出てくるのだ。
ぞわっとしながら読んだ。
われながら惜しいと思うのは、大阪に一切土地勘がないので、この坂を名前と写真と文章のみで想像するだけということだった。もしもっと知っていたら、思い入れが更に強くなったに違いない。

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坂の怪談のところでふっと出会う異形の人や動物たち。
それは幽明界を越えてくる人であったり、思いをこの世に残している人であったりする。
その思いが引き寄せているのだ。
そのあたりの描き方が非常に面白く興味深く読んだ。

ぞくっとしたのが猫の舌触りを感じられるほどの口縄坂の話だ。
とりつかれた理由などは分からないものの、段々と猫にたたられていく姿が怖いのだ。
そしてまた織田作之助の本も読んでみたくなった。

真言坂は、過去の男性への想いとともに新たな出発の話で、怪談ながらラスト胸にぐっと来た。
天神坂は、いかにも、の怪談だが、幽霊が段々に怒りの矛先をおさめていく、それが美味しい食事処というのがたやすく理解できる気がした。