2013.07.29 夢幻花
夢幻花(むげんばな)夢幻花(むげんばな)
(2013/04/18)
東野 圭吾

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評価 4.4

全くばらばらの話が最後に一つに収束する。
そのあり方は読ませるし、相変わらず読みやすくもあって読んでいる間は楽しめる。

あと原発に対するメッセージ性もこの作品は持っていた。
かつてあった黄色い朝顔。
冒頭で、朝顔市に必ず行く一家の話が出てくるのだが、そこで思いがけない出会いをした蒼太と言う少年がどう大きくなっていったか、そして彼の家庭の大きな秘密とは、更に冒頭の出会いから派生した出来事の数々・・・

冒頭で日本刀を振り回した男性が通り魔殺人をして、特に子供を庇った夫婦を殺害する
バンドのメンバーが自殺する
植物好きのおじいさんが殺される

死人はこの人達で、どれも全く関係ないようにぼつっと置石として置いてあるのだが、そのあたりも憎い。

黄色い朝顔のことについて、色々な人が色々な方向から探っていく様が読ませると思った。
ただ・・・どうなのだろう。
冒頭の二つの家族が出会う場面があまりに出来すぎている感が否めない。
ここ、非常に重要な場面になってくるので、偶然すぎやしないか。
おじいさんと捜査する刑事の息子との関係(万引きの疑いをかけられたのを救う)のも偶然なのだから、偶然があまりに多すぎる、一つの話の中で(ネタバレになるので下に書くけれどもう一つ偶然がある)
家族の中でこれだけのことを一人の人間だけに隠すというのは小さい頃は愛情なのかもしれないけれど、大きくなった彼にとって果たしてずうっと齟齬を感じていたと言うことを考えればいかがなものなのか。
というのをちょっと思ったりもしたのだった。
また現場に水がこぼれている、というところからあることを思いついてそこが重要にもなってくるのだが、これもどうなのだろう、なんだかしっくりこなかった。
水泳を女の子がやめた理由というのがかなり後半にならないと出てこないけれど(これは事件とは関係ないものの)、これもわかったようなわからないような理由だった。
原因はストレスでこうなったのか。



以下ネタバレ

・黄色い花の朝顔は、希少価値とかそういうことの前に
幻覚作用がその「種」にある、

バンドのメンバーは、その種の幻覚作用で錯乱状態で自殺した
一方でおじいさんは、種を創作活動のために欲しがっているバンドのメンバーに殺された。
おじいさんは一方でお茶断ちをしている。
だからおじいさんの指紋のあるお茶碗の中にお茶があるのを不審に思われた。

・通り魔事件は通称MM事件と言われた。
通り魔も幻覚作用と見られる、黄色い朝顔の種の。
しかしこのことは極秘情報となる。


・代々黄色い朝顔を見張っている一族、それが蒼太の一族。これが(警察庁に勤める)蒼太の兄、蒼太の父、になる。
蒼太の祖父は警察関係の人間で、MM事件に携わり、上層部から止められ、忸怩たる思いがあった。
なので子供に(蒼太の父)これを監視し続けるよう伝授する。

一方で夏祭りで出会った伊庭孝美は、この種を流出させてしまった一族で必死に種を探していた。
薬学系の一族。

・蒼太の母は冒頭の通り魔殺人の被害者の娘だった。
それを知っていて、知っているがゆえに蒼太の父は結婚した。