2013.08.20 爪と目
爪と目爪と目
(2013/07/26)
藤野 可織

商品詳細を見る


評価 4.7

いかようにも読める本、だと思った、そこが作者の企みなのかもしれないけれど。

まず冒頭で、あなたが誰か、わたしが誰かというのが一切分からない。
二人称小説で繋がっていく。
これは読んでいるうちに、あなた、が継母であり、わたし、が三歳児の子供である(つまり継子)ということがわかってくる。

途中で、わたしはもう成長していて、継母の行く末も見ているし(はっきりとは書いていないけれど、悲惨そうな行く末だ)、自分が立派に成長しているというのもわかる。
継母に対してまったくいい感情を持っていない子供。
継母の描写がとても細かく描かれていて、そこがまた何に対しても淡々としている無関心の(子供にさえ無関心)継母の様子も良く見えてきて、そしてまた継母が不倫相手だったというのもまたわかってくる。
また自分自身(三歳児の自分)がぎりぎりと自分の爪を噛んでいるその姿もまた印象的だ(この爪も重要になってくる)

最後子供がやった冷静なこと。
それが恐怖を誘う。

以下ネタバレ

・更に、とても重要な事実として、途中で分かることは、母がベランダから落ちて死んだと言う事実だ。
ここは何度か読んでみると、実に不思議な感じだ。
子供がこちら側から鍵を掛けてしまった、ということはよく幼児のいる家庭ではありがちだ。
それを見て、笑顔で(怒ると開けてくれないので)必死に問いかける実母の姿も印象深い。

私はこれを、子供に言っても開けないので飛び降りたのではないだろうか、と思った。
だから遠くで子供のせい。
子供に殺意はなかったとは思うのだが。