ホテルローヤルホテルローヤル
(2013/01/04)
桜木 紫乃

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評価 4.7

うまい、とは思いつつ、あまり私の好みの範疇ではなかった。
なんせ、ラブホテル、それもうらぶれたホテル(最初から廃墟で出ている)の年代ごとの話なのだ。
どうしたって暗くなる、薄汚れた感が出る。
息詰まるようなラブホテルのあれこれを読みながら、晴れた天気の元に飛び出していきたくなった、というのが本当のところだ。

回り灯籠のように話は進んでいく。
冒頭は廃墟で埃っぽいそこで写真を撮るなんだか今ひとつの(今三つぐらいか)男と、それに対して微妙な感情を持ちながらついてきて裸になり写真を撮らせる一人の女性の心情が事細かに描かれている。
このラストで、なぜ今のこの時に家族に会わせる話をする?という女性の苛立ちのようなものはとてもわかったのだが・・・・

最後の所で、大吉という素晴らしい名前を持った男性が意気揚々とホテル・ローヤルを作る場面で終わる。
ここがちょっと胸を打たれた。
冒頭で廃墟になるのを見ているだけに。
逆回しの時計を見ているようで、何事にも人の思いというのがあるのだなあと思ったりもした。