2013.11.27 三秒間の死角
三秒間の死角 上 (角川文庫)三秒間の死角 上 (角川文庫)
(2013/10/25)
アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム 他

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三秒間の死角 下 (角川文庫)三秒間の死角 下 (角川文庫)
(2013/10/25)
アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム 他

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評価 4.8

潜入者の話だ。
それも複雑なのは
「以前軽度の犯罪者であった男を警察がスカウトして、もっと大掛かりなマフィア組織に入り込ませ、そこでの情報とともに彼らの壊滅を狙う」
というものなのだ。
更に、この潜入者のことは、一部の人しか知らない。
だから警察の人のほぼ全員が知らないので、この話では、
「「潜入者」を追いかける警察官」
という実に矛盾した構造が出来上がっている。
本当はこの二人は同じ側にいるのに・・・

冒頭から三部までは、この潜入者がどのようにして自分の目の前で別のスパイが組織から殺されるという事件を目撃したところ(目撃と言うか実際にその場にいた)から始まる。
スパイ同士だが自分の保身のために助けられなかったのだ、たとえ別組織からきたスパイとはいえ。
そしてやることがわかってくる、彼は刑務所内で行われている麻薬密売の拠点を牛耳ることだった・・・

潜入捜査官パウラは美貌の妻がいて可愛い二人の子供もいる。
しかしパウラの正体を知らないグレーンス警部は追及し始めてしまって、この全貌を知っている人たちを震撼とさせる。

・・・・
刑務所に入ってからが抜群に面白くなった。
巧くいく、と思いきや、あっさりと上の人にパウラは捨てられるのだ、つまり刑務所内の受刑者に自分がスパイだったと言うことをなんとばらされて身の危険が出るのだ。
ここに至ってパウラの用意周到さが際立って目立ってくる、ここが大変面白い。
この前まででパウラがしたことで、会議で無理やり隠しマイクで録音していることや、妻に郵便を託していることや、また何よりも教会のある窓に行ってなにやらしていること、など全てが後半あっと驚く展開に結びついている。

最初の方、グレーンス警部の様子がしっくりこなかったので、さっぱり乗れなかった。
彼の心の痛みというのもぴんとこないし、警部が横柄に出てくるたびに(なんだろう・・この人は・・)と言う思いに駆られていた。
そして、どちらかと言うとパウラが心配で、警部が失敗すればいい、とすら思えてきたのだ。
それが後半、警部に寄り添ってこの物語を楽しめるようになってきたのだ。