2013.12.04 アリス殺し
評価 4.9

話そのものが入り組んでいて、しかも途中でいかにも小林泰三のグロが入る。
スプラッタ的なところもある(首がぶらぶら、死なない瀕死の轢死体・・・・)
それなのに最後面白かったなあと思える小説であった。
最後の反転も面白い。胡蝶の夢のようだ。
また推理小説的には、意外性ということが、アリスの物語に目を奪われ盲点を突かれているところが面白い。
夢で不思議の国のアリス、を見る人間たち、がいて、その人間たちは(主に大学関係者)現実世界でまた別の名前を持っている。
誰が誰やらわからない。
しかも、夢を見ていることを語ってる人はごく稀なのでそれを探っていかなければならない。
アリスの世界(夢の世界)で死んだ者がこちらの世界で死ぬ(殺される)のは、決まりごとのようだ。

こうして、
「最初にこの夢を見ていた栗栖川亜理は、ハンプティ・ダンプティとグリフォンの死後に自分が犯人にされてしまう」ということに気づく。
直後に、同じ大学で同じようにこの夢を見ていた男性を発見するのだった、夢の中の合言葉によって。

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誰が誰やらわからない、というところでは、最初の方に「夢の中の男が現実世界の女になる」という可能性はあるときちんと提示されている。
不思議の国の中ではアリス以外は人間以外がほぼ占めている。
また不思議の国のアリスの中で死んだ人、というのが必ずこちらの世界で死んだ人とリンクしている、というのも決まりごととして提示されている(だからこそ、アリスが犯人にされてしまうという心配が出てくる)
夢の中で死んだもの、と現実社会で死んだ人、というのは微妙に形が似ている時もあるというのも提示されている、が、時もある、なので、全部が全部そうでもない(最初のハンプティ・ダンプティの現実世界の人間がころっとした体型だったので惑わされる)

以下ネタバレ
・最後のほうで、
この夢の方が現実であり、この人生の方が夢であると言う逆転発言が面白い。

・そもそも、アリスは絶対に栗栖川亜理と最初から読者は思っている。
が、そのポケットにいたハムスターがアリスだったという盲点が!
栗栖川亜理は夢の中では眠り鼠。
つまりここは、げっ歯類と人間が逆転している。

・広山準教授が公爵夫人
・怪しかった谷丸警部は、女王だった!