2013.12.05 猫を拾いに
猫を拾いに猫を拾いに
(2013/10/31)
川上 弘美

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評価 4.9

このシリーズ大好きだ(クウネル連載)。
が、自分の気持ちにぴったり寄り添う時とそうではない時には分かれる。
もしかしてこれは小説と言うより自分の心の持ちようの具合、なのかもなあ・・・と毎回読むたびに思う。
そして今回はどんぴしゃり!
どの話もとても心にヒットした。

話は、異界のものもさらっと出てきたりする。
ある時には明確な幽霊と言う形であったり(明確な幽霊って矛盾だが「とんぼ玉」)、ある時には幽霊であるのに誰もそのことを不思議に思わず受け入れていると言う形であったり(「九月の精霊」)、死者を話していることでどんどんその人となりが浮かび上がってくると言う形であったり(「ぞうげ色でつめたくて」)。
不思議な話も日常の中にふわっと浮かび上がってきたりする。

一番好きな話は、「ぞうげ色でつめたくて』だった。
お兄さんと結婚していた女性が、その弟に命日のたびに会い、そこから二人の関係、兄のことが徐々に浮かび上がってくるところが読んでいてぐっと来た。
この小説、ラストがとてもいい。

また旅は、無料、も、この主人公の心がとてもわかった。
自分のすぐ隣にいる女の子の可愛さがどこから来ているか分析までする主人公。
自分はそうではないのだが何とか近づきたいと思ってる嫉妬にも似た(途中でやや嫉妬にも変質しているところも描けている)感情の揺らぎ。
このあたりが心を打ったのだった。