世界で一つだけの殺し方 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)世界で一つだけの殺し方 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)
(2013/12/17)
深水黎一郎

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評価 4.8

いいなあ・・深水黎一郎作品は!
期待を毎回裏切らない作品が多いように思う、たとえそれが短編であっても長編であっても。
あっと言わせてくれるポイントが、心をうきうきさせてくれるからだ。

今回は中篇二つだ。
最初の話不可能アイランドの殺人は、少女が家族三人で仲良く旅行に来たどこかの地方都市だ。
それが少女の視点で語られていくが、どうにもこうにもここは(夢の町)なのかと思うような町なのだ。
途中まで(もしかして少女の夢の話?)とまで私は思っていた。

というのは、
・警察に追われたスリが湖をひょいひょい走っていく
・先程屋台で違う食べ物を扱っていたのに、それがいきなり変わっている
・じいっと見ていた指名手配犯の写真があっという間に消える
・列車が通り過ぎるトンネルを抜けると、そこでは列車が半分になっている

現実ではあり得ない出来事が起こっていく。
後半で(もしかして?)とからくりはわかってきたのだが、じゃあどうしてそうできるかという方法はさすがにわからなかった。
これも解説されるとなるほど!
だけど、それよりも、後半「ある事実」がわかる。
その方がこの町の不思議の全てよりも衝撃的であった。

そして、これを解いたのが
「漢字で六文字」「お寺みたいな名前」のお兄ちゃん・・・
ここにまたこの人が出てきたか!!!(と深水作品を読んでいたら嬉しい喜び)

・・・・
次のインペリアルと象、は、音楽に造詣が深い作者ならではの作品だ。
冒頭から始まる、ある話(この話もとても印象的だ、のんびりとした象遣いの話が暗転するあたりが)がどう後半の動物園物に繋がっていくか、と思っていたら、こう繋がったのか・・・

動物園でののんびりとしたコンサートで起きた一つの事故。
その事故をめぐって推理がめぐらされていく・・・


正直、専門的な音楽の話はわからない部分も多かった。
でもピアノの超一流と一流との違いの話、とか、鍵盤の数の話から深い話とか、ハンニバルの象がなぜ暴れたかの話とか、そのあたり非常に読ませるのだ。
それでも尚、象という題材でここまで書ける手腕が素晴らしい。