マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM)マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM)
(1997/02)
ブリジット オベール

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評価 4.4

ああ・・・そうかそうか!と解説を見てわかったことがあった。
これって「若草物語」のタイトルを連想させるのか!

登場人物は少ないし
話しているのは主に二人だけなので(犯人とメイド)話はとても理解しやすい。
日記と言う形式で進んでいくのだが、
「マーチ博士の家の4人の息子のうちの誰かが異常性格者であり、
彼がいまだに犯罪を陰で犯し続け殺人をし続けているというのをメイドのジニーが気づいてしまう、
その日記から」という設定だ。
その感想をまたジニーは日記に綴っている。

この話で
最初は
・ジニーが息子の日記を偶然に発見→隠れて読む
・ジニーは震えながらその日記の感想をまた自分の日記につける


という単純な構造から
・ジニーがその日記を読んでいることに息子が気づく。
・ジニーも気づかれたことに気づく(日記の文面から)

・ジニーに向けての息子からのメッセージが書かれるようになる
・ジニーはそれでも自分の日記に思いのたけを書いている

・もしかしてお前はジニーなのか、とジニーに息子が盗み読みの犯人の特定をし始める
・ジニーは焦るのだが相変わらず日記を書いている

・とうとうジニーと特定される
・ジニーが相手の日記に書き込みを始める

・交換日記のような様相を帯びてくる
・ジニーはレコーダーでも自分の記録を始める

・ジニーの日記が息子に見つかったらしい

このように日々変化している二人の立場がある。
最初交わってなかった二人の点が、日記を通じて交わっていくのだ、このあたりが面白い。
4人のうちの誰かというのはわかっていても、客観的に彼らのことが書いてあるので誰だかは特定できない。
しかも「四つ子」なのだ、だから外見はそっくりらしい。
しかも、この人たちの新たな秘密が途中で明らかになり、母親は息子の異常性を何らかの形で知っているらしい。

ラストの犯人の意外性、そしてジニーが警察に届けた方法も考えられていて読ませたのだが・・・

この4人の息子の像が何度読んでも浮かび上がってこなかった。
誰が何をしているか、何を目指しているのか、はわかるのだが、4人の動きがよく見えない(全てわかったあとにはこういう状態と言うのもわかるのだが)
犯人の意外性・・・・ちょっと違反すれすれのような気もうっすら漂うのだ。
あとエピローグの「彼」が最初に言う氷のエピソードの新たな話は必要なんだろうか。

以下ネタバレ
・死んだと思われていた5つ子ザカリアスが実は生きていて隠し部屋(ジニーの部屋の隣の小部屋)に潜んでいてたまに出てきては誰かに成り代わって、そしてこの日記を書いていた。
・氷に落ちて死んだと言う話を作って、ザカリアスの葬式まで家族で、した。

・疑問、
その成り代わっていた間、成り代わられていた息子はどこにいたのだろう?小部屋か?
そしてザカリアスの犯行を全くこの4つ子は知らないというのだが、本当なんだろうか。

・ジニーはいざと言う時のために、ビニール袋に包んで自分は自殺ではないという紙を飲み込んだ。
(が、「彼」を捕まえるだけの資料は出てきたのだろうか)